poem

綺麗な月

暗い道を歩いていると
不意に空が明るく感じた

下を向いて歩いていた私は
それを月だと思って顔を上げた

そこにあったのは月なんかではなくて
ただ 大きな電灯だった

電灯は月よりも明るくて
月は霞んで見えるばかり

世の中 月さえも霞むのかと
不意に涙が出た

世界はそのうち全てが人工物に負けるのかと
涙が出た

綺麗な物はこうして失われていくんだ

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