poem

あちらの世界

この身を裂いて
赤を散らして

白の世界へ誘って(いざなって)

あちらの世界で呼んでいる
先に行ったあの人と横にいる黒い影

手招いているあの人と
手を伸ばす黒い影と

二人に誘われ二歩進み
影に怯えて一歩戻り

あの影に捕まったらどうなるのだろう
あのフードを被った黒い影に

怖くなって後ろへと走って
逃げた私が見たのは
あの人を連れて行く影と音の聞こえる光の穴

次の瞬間感じた意識は
病院のベットの上で

心電図と点滴に繋がれ
あとは一面の白

まるであちらの世界のような色の病室

自分が戻ってきたのを理解して
安堵と共に悲しさを

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